「タイバニ」との出会い

 界隈ではかつてかなりの盛り上がりを見せ、その手のお姉さまがたに可愛がられたアニメ「TIGER&BUNNY」(通称タイバニ)。放送されていたのは2011年なので、もうずいぶん前の作品だけど、いまだに某イラスト漫画サイトではとどまることなく二次創作物が生み出されている不朽の名作。私がタイバニに出会ったのも例に漏れずそのサイトでのことで、何の前情報もなしにまっさらな心でそれを拝見し、「なんて夢のあるアニメなんだ…!」と胸が躍った記憶がある。だって設定が強すぎる。盛りを過ぎた30後半の猪突猛進ベテランヒーロー(子持ちやもめ)と頭の切れるトラウマ持ちエリート若手ヒーローのバディものなんて面白くないわけない!!!!!!!!!!!!

 

 

 衝動に駆られるままにアニメ本編と劇場版を動画配信サイトで一気視聴。もともとおじさん世代に向けて作られたというこのアニメは、アメコミ調の作画とどこか昭和臭さを感じさせるようなキャラクターの主人公がはじめは敬遠されたみたいだけど、スポンサー企業のロゴを作中でヒーロースーツに載せるという斬新すぎるアイデア、まるで外画かと思うほど綺麗なアクションシーン、個性豊かな登場人物とツッコミどころ満載のストーリーで、十二分に視聴者(特に女性ファン)をひきつけた。

 

 

 物語は割とチープなんだけど、キャラクターがとにかく愛らしくて見てて楽しい。未来ある若者ではなく、おじさんを主人公にしたところも凄くいい。不器用だけどがむしゃらで正義感の強い性格は、心から応援したくなるような力があるし、同時に成熟しているからこそのどこか達観したような落ち着きや父性にドキッとする。他人に心配をかけまいと、下手糞な嘘をついたり自分を卑下したりするような言動は、ひどく危なっかしくてもどかしいけど、それすらも守ってあげたくなるような気持ちにさせる。鏑木・T・虎徹は、見る人の心を惹きつけてやまないパワーを持っている。

 

 

 そんな虎徹に時間をかけてゆっくりと絆されていく相棒のバーナビー・ブルックスJr.の変化も可愛い。1クール目と2クール目のキャラ変が凄い。冷静沈着で無感情な子だと思っていたけれど、むしろ感情的で泣き虫なのだと分かったのは2クール目に入ってからだったな。

 

 色々な出来事の中で変化していくキャラクターたちの関係性がとにかく愛おしくて素敵な作品です。

 劇場版のエンディングでUNISON SQUARE GARDENの「harmonized finale」が流れたときは、その歌詞の切なさと、それが虎徹の心内と明確にリンクしていることに悲しくなって、2期なんて来なければこのコンテンツは終わらないのになあなんて一瞬思ったりもしたけど、やっぱり早く2期が見たいので2022年が早く来い